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コロナウイルスを『銃・病原菌・鉄』で読み解く。

コロナウイルスを『銃・病原菌・鉄』で読み解く】

皆さんは、『銃・病原菌・鉄』という書籍をご存知でしょうか。
この本は、『文明崩壊』の著者でもあるジャレド・ダイアモンド先生が書いた本になります。

内容は『サピエンス全史』同様、人類の歴史を紐解く内容でして、タイトルに「病原菌」の3文字が躍っていることから想像できる通り、今回のコロナウイルス騒動を歴史から紐解くに当たって、打って付けの書物です。

そこで今回、私が『銃・病原菌・鉄』の内容をベースに、コロナウイルス蔓延の構造を紐解き、今回の騒動が「いつかは起きていた必然」である事を説明してみせましょう。


ユーラシア大陸は横長であることが強み】

本記事の結論は大きく2つに分けられます。

ユーラシア大陸が横長の大陸であることが、今回のコロナウイルス蔓延の決定的な原因であること。

②①より、ユーラシア大陸の形は人為的に変えられるものじゃないからこそ、大規模なウイルス感染は、いつかは起こっていた必然である。

それぞれ解説していきますが、先ずは『銃・病原菌・鉄』の中でも、コロナを考える上で外せない内容を解説しますので、しばしお付き合いください。


〈地球上で、横長の大陸は最強〉

『銃・病原菌・鉄』の重要な結論は、
「ヨーロッパが世界を支配するほどの地位に君臨できているのは、ユーラシア大陸が横に長い大陸だから!」
というものです。
横長の大陸とはどういうことかというと、
ユーラシア大陸の中ではどの地点においても緯度が変わらないため、環境の変化も少ない」
ということです。

例えば、縦長国土を持つ日本においては、北海道と沖縄では圧倒的に緯度に差があるため、気温も天候も全く違いますよね。逆に、だいたい同じ緯度にある東京と大阪では、気温も天候もほぼ同じと言っていいでしょう。

このように、緯度の違いは大きな環境の変化をもたらしますが、逆に、緯度が同じ土地ではおよそ同じ環境が共有されることになります。

環境が単調な大陸では、ある土地で成功した農作物の栽培方法や家畜の飼育方法が、となりの別の国でも使えるということになります。となりの国でも環境が同じなのですから、これは当然ですよね。
一方、縦長の大陸を持つアフリカのような国々では、たとえある国で農作物の栽培方法や家畜の管理方法が確立されても、それをとなりの国でも活かしていくことができません。環境があまりにも違いすぎるため、また一からやり直さないといけないのです。

こんな具合に、ヨーロッパの人々はアフリカ大陸やアメリカ大陸の人々に比べて、圧倒的に環境に味方されていると言えるのです。

また、このように生活基盤が整えば、人々の生活には時間的な余裕が生まれますよね。農業や家畜の管理のために必死で働く必要はありませんから。
これが人々にテクノロジーをもたらすことになりました。その1つが銃です。これを持ってヨーロッパの人々は他の大陸に攻め入るわけですが、実は、侵略において本当に恐ろしいのは銃ではありません。彼らが体内に溜め込んだウイルスや細菌なのです。

例えば、歴史的に見ると、イギリスがアメリカ大陸に攻め込んだ時、銃殺されたネイティブアメリカンよりも、病気で死んだネイティブアメリカンの方がずっと多いと言われています。

なぜこんなことになるのか?先にも述べましたが、ヨーロッパ人は農業とともに家畜の管理も成功させていましたよね。実は、野生動物の家畜かというのは、人類にとって大変な偉業でして、今でもまともに家畜化できている動物はわずかに14種類程度です。
そして、その14種類の動物のほとんどは、ヨーロッパ大陸には生息していて、他の大陸には生息していない生き物でした。

ここがポイントです。
家畜との共存関係というのは、言い換えれば、彼らが体内に保有している多様なウイルスや細菌との共存をも意味します。このような環境で生活していれば、免疫力が高まるのは当たり前ですよね。
こんな状態で他の大陸に侵入すれば、銃なんか持たなくても、その身体自体が大量の未知のウイルスを抱えた爆弾みたいなものです。これによって、ウイルスに耐性を持たない新大陸の人々はバタバタと倒れていったわけです。

つまり、ヨーロッパの人々は人工のテクノロジーと、自然の生物兵器のダブルパンチのスキルを手にしていたからこそ、世界を牛耳る立場に君臨できたのです。


【コロナの発生源の条件は家畜との共存と同じ】

家畜が身近にいる生活がヨーロッパ人の免疫力を高めたということは、動物にはそれだけ多くのウイルスや細菌が住んでいるということです。
今回の新型コロナウイルス発生源とみられる中国の市場は、様々な動物が人間と物理的に近い距離にある点で、これに近い条件にあると言えます。

また、中国もユーラシア大陸を構成する国の一部ですから、ここまでに説明した内容が同じように適用できます。よって、「環境が同じ」であることは、今回のコロナウイルス蔓延にとっても、決定的な要因だった考えられます。

環境の変化が激しければ、当然のことながら、そこに住んでいる生物の種類も大きく変わるはずですよね。一方で、広く同じような環境が続いている土地では、どこに行っても同じような生態系が見られるはずです。

これがウイルスにも言えるわけです。
ウイルスも環境に生かされている存在ですから、異なる環境で蔓延することは難しい一方、似通った環境で増殖&蔓延することは容易です。どこに行っても環境が変わらず、しかもどの大陸よりも面積が広いヨーロッパ大陸は、特定の種類の生物が反映するためには絶好の条件と言えます。
おまけに、ウイルスや細菌のように単純な構造の生物ほど、爆発的なスピードで増えることができますから、同じように1つの環境を支配しようとする他の生物に比べて、圧倒的に有利に支配を進めることができます。

裏を返せば、ユーラシア大陸のある一点で適応を遂げた新種かつ猛毒のウイルスが誕生すれば、それはユーラシア大陸全土に適応したも同然なわけです。
これが、過去の歴史で言えばスペイン風邪が、現在で言えばコロナウイルスが爆発的に蔓延できてしまっている理由です。

横長の大陸は強みであると同時に、裏を返せば弱みでもあるのです。
一定の環境下、無性生殖で増える多様性の無い生物は、環境の変化に弱いという弱点があります。横長の大陸はこの弱点を「環境の単調さ」で見事にカバーしているわけです。
つまり、同じような環境に適応している生物は、たとえ多様性があったとしても、その多様性は環境の一定性に制限された範囲に限定されるため、1つの危機的な状況によって一気にひっくり返る、ということが言えるわけです。

そして今回、またもユーラシア大陸が発生源である病原菌が、その単調な環境を舞台に生息地を拡大しているわけですね。


【今回のウイルス感染は必然であり、またいつか起こる】

・さまざまな動物が身近にいる状況。
・昔から変わらない横長の大陸の強みと弱み。
・グローバルな時代背景に伴う人の往来。

という三つの条件が重なって、新型コロナウイルスの感染拡大は起こっていると考えられます。

そして、この三つの条件は今後もそう簡単には変化しません。
大陸の形は核戦争でも起こらない限り変化しないでしょう。
中国の市場にみられる「さまざまな動物が身近にいる環境」というのも、あの国での貧富の差が是正されることなく、食べるのに困っている人々が大勢いる限り、決して変わることはないでしょう。
グローバル化に伴う世界規模での人の往来についても、リモートワークの普及で仕事のために移動する人は減るでしょうが、場所に囚われない働き方が移動の自由を生み出す分、旅行客はむしろ増えるでしょう。

これらの点を考慮するに、今回のコロナショックが過ぎたとしても、第二第三のコロナショックが襲うことは想像に難くありません。
人と人との接触がリスクとして認識される流れが加速しているわけではありますが、まだまだパンデミックの条件が取り除かれたわけではないことには、注意が必要です。